2012年09月12日

福田麻由子さんの村上春樹論(その1)

■書評誌『ダ・ヴィンチ』の2012年10月号の158ページで福田麻由子さんが、村上春樹の小説について感想を述べています。

【引用ここから↓↓↓(福田さんの発言は太字にしました。)】

《寄稿》 福田麻由子 「夢のあと、闘いのあと」

「村上作品を読むことは、夢を見ることに似ています。物語(ものがたり)と私の記憶が絡(から)まっていくようで、そこで私はただそれを関係(かんけい)のない立場で見ていることはできなくて、思い出しているような、経験(けいけん)しているような、とにかく不思議な気持ちになります。
 そんな経験をはじめてしたのは14歳の時でした。急に2週間の入院をしなければいけなくなり、とにかく暇
(ひま)だったので、本を読むのが好きだった私は父親にたくさんの本を買ってきてもらいました。その中に村上作品もありました。入院の数日前に本屋で見た猫と石の表紙が印象的で、中身のことは全く知らなかったけれど読んでみようとふと思ったのです。
薄暗
(うすぐら)い病室の中で、眠ることを忘れて一晩で読みました。本当に夢を見ているようでした。『海辺のカフカ』に14歳で出逢(であ)えたことは奇跡だったと思っています。夢から覚(さ)めた時、そこには新しい世界がありました。世界は何倍にも広がって、決して手は届かなくて、でも凄(すご)く近くにありました。手を伸ばさなくちゃいけないのだと声が聞こえるようでした。その後、多くの村上作品を読みましたが、『海辺のカフカ』は私の中でずっと変わらず一番の作品です。他の作品とは一味(ひとあじ)(ちが)うひりひりした世界で、これはただ好きとしか言いようがないのですが、本当にぐっと来ます。他には『象(ぞう)の消滅(しょうめつ)』と『めくらやなぎと眠る女』が凄(すご)く好きです。この2作の方が、夢を見ているようだという表現にはより近いかも知れません。どこか無機質(むきしつ)でありながら心を揺(ゆ)さぶる温度(おんど)を持っている村上作品のことばの魅力(みりょく)が詰まった作品です。夢の中で、私はどこまでもひとりです。私自身の小さな闘(たたか)いがそこにあります。次はどんな夢を見せてくれるのかな。」

ふくだ・まゆこ
1994年東京都生まれ。
女優。
2000年に『Summer Snow』でドラマデビュー。2009年に『ヘブンズ・ドア』で映画初主演。その後もドラマ『それでも、生きていく』など数多くの作品に出演。
読書が趣味で、村上春樹や川上未映子、山崎ナオコーラの作品が好き。
【引用ここまで↑↑↑】

★★画数の多い漢字を太字にすると文字がつぶれて見にくくなるのでそういう漢字には振り仮名をつけました。

posted by mayuko at 10:56| 雑誌に出た福田さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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