2008年12月23日

『+act.』第18号の福田麻由子インタビュー

■『+act.(プラスアクト)』第18号(ワニブックス発行)の32〜33ページで、映画『ヘブンズ・ドア』で共演した福田麻由子さんと長瀬智也さんが一緒にインタビューを受けています。
長瀬さんの話は少し分かりにくいですが原文通りです。私が写し間違えたわけではありません。


【引用ここから↓↓↓(福田さんの発言は太字にしました)】
 『ヘブンズ・ドア』の原案はドイツ映画『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』(1997年)である。余命わずかな入院患者である、いかつい男同士が死ぬ前に海を見ようと一波乱をおこすロードムービー。そして、このタイトルの元はといえば、ボブ・ディランの名曲だ(邦題は『天国への扉』)。このディランの名曲はこれまで様々なアーティストにカバーされてきた。ちょっと名を挙げただけでも、エリック・クランプトン、グレイトフル・デッド、ボブ・マーリー、アヴリル・ラヴィーン、ボン・ジョヴィ・・・錚々(そうそう)たるメンバーである。中でも、U2やガンズ・アンド・ローゼズ版の『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』は素晴らしい。オリジナルとは関係なく別のひとつの作品として楽しめ、それぞれの良さがより際立ってくる。本作とオリジナルの関係もそれに近い。よく観たら、同じだけれど、これはこれで面白い別の作品である。まさに音楽でいうところのカバー。名作だからこそ、大胆なアレンジをしても感動はそのまま。本作もところどころ、実に様々なスパイスが効いている。最も違うのは登場人物。いかつい男同士が若者と少女に変わるだけでこんなに違う話になるとは。接点のない二人が徐々に心を近づけていく様子はまるで『ニキータ』(1990年)のような感動がある。特にソウルフルな演技でぶつかりあった長瀬智也と福田麻由子のケミストリーが面白い。決して交じり合うことなく、しかし繋(つな)がっている二人独特の関係性。取材中も彼らが演じた勝人と春海同様の戦友的距離感を感じることが出来た。

インタビュアー「まずは出演が決まった時の気持ちを教えてください」
長瀬「僕が常に思っているのは、観ている人に考えさせる何かが出来ればいいってこと。それは表情だったり、言葉でもいい。ただ、言葉にしてしまったらそれは表現方法としては違うのかもしれないんですけど、言葉じゃない何か空気などで、観ている人に考えさせる部分を大事にして、お芝居をしているんです。それは自分が人間だから出来る表現方法であり、だからこそ、いつも人間らしさを大事にしてきたんですね。今回、この役を演(や)るにあたっても、そういう部分を大事にしているところが凄(すご)くあります。深い空気感が詰まった作品になったのではないかと思いますね」
福田「私の場合は・・・そうですね。面接に行かせて頂いたんですが、その前に準備稿(じゅんびこう)でしたが台本全部を頂きました。台本があって、役を演じるという点では、出演が決まっている作品と同じというか、同じように台本を最初から最後まで読んで、役作りをしていたので、この時にはもう自分の中に春海という役が出来ている状態だったんです。もちろんまだやれると決まっていなかったのですが、現場に行く時と同じような気持ちで向かいました。自分の中に役が出来てしまっていれば、やっぱり演(や)りたいじゃないですか。だから、演(や)らせて頂けることになって、よかったなと思いました。最終的に私のお芝居を目の前で観て頂いたんですが、芝居を観て選んで頂けたので、勇気にもなるし何より嬉(うれ)しかったです」

インタビュアー「では役にはすんなり入り込めたんですね」
福田「はい。ただ、やっぱり、今回のお話は実際に勝人とのやり取りというか、一緒にいる空気だったり、そういうものが重要だと思っていました。なので、自分の中に春海がいたとはいえ、長瀬さんと一緒に台本読みをした時、そして現場にいって演じたとき、そして、現場でもテストと本番でちょっとずつ違ってきたんです。その時、その時で感じたものを感じたまま、お互いにぶつかる。その感じが凄(すご)く楽しかったし、その気持ちで感じたまま、演じることを大切にしたいなとも思いました。何の質問でしたっけ?すいません(笑)」

インタビュアー「(笑)役作りについて二人で話し合ったりしましたか」
長瀬「あんまり、しなかったね?どのタイミングでどう動くとかそういうことは話したかもしれないけど。でも言わなくても彼女はそれについて来るんです。だから、なんていうんだろう、彼女の咄嗟(とっさ)に出たリアルなものがお芝居の1シーンにあったら、ぼくと彼女のどっちかがルートをはずれるとそのシーンの未知なる世界が始まってくるわけじゃないですか。その引き出し方とか、好奇心みたいなものも凄(すご)く伝わってきて。冒険者、挑戦者というのか、なにか楽しんでる感じというか。まだ開けたことのない扉を開けようとする感じが、何かかっこいいなと思いましたね」

インタビュアー「お互いに対する第一印象は?」
福田「長瀬さんと私だけで、台本読みをした時に初めてお会いしました。ご挨拶してすぐに長い時間、勝人と春海として向き合って台本読みをしたので、第一印象は長瀬さんというより勝人としての印象のほうが強かったです。撮影がほとんど順撮りだったので、勝人と春海が出会って、距離がだんだん近づいていく微妙な感じが、初めてお会いしてからちょっとずつでも話をするようになった関係が役と本人は一緒ではないけれど、雰囲気などで生かされた部分があるのかな。そこが映像にも映った部分でもあるのかなって気がしますね」
長瀬「今回、観せてもらった演技をするような人とは思えないくらいかわいらしいと思いましたね。年齢も半分以下なのに。この年齢のギャップが逆に多分いい空気を生めるんだろうなとも思っていたけど、でも一緒に芝居して、なんか凄いなと思いましたけどね。なんというんだろうね。僕が役者とかそういう仕事をやらせてもらってきた上で、一番難しいなと思っている空気作りとか、人間味の表現の仕方とかを何かもう既に分かっているような感じがして。そういう話をした訳でもないし、僕が勝手にそう捕らえたんですけど、凄いなぁと思いましたね」

インタビュアー「その年齢のギャップを実際に感じるようなときはありましたか?」
長瀬「撮影中ずっとテスト期間中とかで、ずっと、ロケとかでも教科書持ってきて勉強していて、そういう部分がリアルにギャップを感じましたね。でも僕はそういうことをして来なかった人間なので、逆にリスペクトする部分でもあります(笑)。だって両立している訳じゃないですか。ある意味、僕より凄いみたいな。ただ、凄いって思う反面、勉強している邪魔になっちゃったかもしれないけど、麻由子ちゃんがお母さんとケンカした話とか無理やり聞き出して、俺が勝手になごまされてましたね。多分、いい迷惑だったと思います(笑)」
福田「(笑)とんでもないです。私はこの現場に限らず、ほとんどの現場で年下なので、多分長瀬さんが感じられている程は、年齢が違うから調子が出ない、というようなことはなくて、どちらかというと、私はいつも年上の方とやらせて頂いているので、あんまり歳の差を意識しないんですけど。プリクラを撮るシーンで、怪獣の顔を二人でしていたら、何かある度に怪獣の顔をやって」
長瀬「やってたね」
福田「面白い方だなと思いました」
長瀬「いやでも、そのギャップというのは思ったよりなかったという感じがしましたね。お互い、私生活の中でのギャップはもちろんありますけど、でもやっぱり同じ表現者として同じ気持ちを持ってやるというのは、そういう風に思ったことないですね。逆に年下かもしれないけど、さっき言ったみたいにリスペクトする部分がありましたから。刺激にもなったし、そういう意味ではあまりそういうことは常には考えていなかったですね」

インタビュアー「オリジナルのドイツ映画は意識なさいましたか?」
長瀬「麻由子ちゃんはオリジナル観てないんだよね」
福田「はい。また別のひとつの作品として作りたいと思ったんです。私が別に考えればいい話なのかもしれないんですけど、私の場合、原作や観たものの映像が台本を読んだ時に浮かんできてしまって・・・。そういう経験が一度、別の作品であって、オリジナルを観るのはやめておこうと思いました」
長瀬「僕もその気持ちはよく分かって、彼女がそう話しているのを聞いていたんです。教科書は作りたくないって。僕はオリジナルを観たのですが、逆にそのイメージを壊すぐらいの勢いで、やりたいなと思いましたね。オリジナルは男同士のもの。あれはあれで描けているけれど、きっと僕と麻由子ちゃんでしか描けないものがあると思う。結果、教科書を作らないで、麻由子ちゃんと演(や)れたから、いい感じになったのかなという気もしましたけどね。」

インタビュアー「マイケル・アリアス監督の演出はいかがでしたか?」
長瀬「基本的にお任せだったよね?がっちり決めないで、僕らの脳みそを使ってくれる、頼りにしてくれる人でした。僕らの演技をどう撮るかという話は凄(すご)くしたし、僕もそうだけど、人間味の部分を大事にしているという点では、麻由子ちゃんもそうなんだけど、マイクもそうだった。そういうところに目が行く、フィーチャーしたがる人で、そこをどう表現するか、どう出すか、どう撮るかが一番難しい部分で、そういったやりとりはありました。でも逆に言うと、人間味の表現の良さこだわりというのをお互い分かるので、言葉じゃ通じない部分で、喋(しゃべ)らなくてもお互いの思いが分かる気がしました。いざ本番って時に僕がマイクに何か言おうとしたら、全部言わなくても、”OK、OK”って分かってくれる。そういうことが何度もありました。」

インタビュアー「では台本優先という訳ではなかったんですね」
長瀬「ほぼ、違いますね」
福田「あまり台本に書けない部分を描いているんです」
長瀬「セリフやト書きでは言い表せない部分を描いているよね」
福田「時にはこっちがいいのか、あっちがいいのかって話し合いをする時もありましたし、監督の話を聞いて、納得して、そこに繋(つな)げるためにどういう目線で、勝人を見ればいいだろうと変えた部分もあります。私の感じたことを尊重して下さって、意見が割れた時でも、”1度演(や)らせてもらっていいですか”とお願い出来る機会が何回もありました。そうやって話し合ってお芝居が変わることもあったけど、それをどう撮るかということを常に考えて下さる監督でした。私の春海をなるべく尊重してくれましたし。監督がここは絶対にこうしてほしいという頭で描いていることは話してくれるので、私も自分が思ったことは全部話しました。感じたまま演(や)っている私を撮ろうとして下さってとても感謝しています。」

インタビュアー「日本語ペラペラだそうですね」
福田「もちろん」
長瀬「僕らが分からない言葉も使ってました(笑)」

インタビュアー「お気に入りのシーンは?」
長瀬「好きなシーン・・・何かある?」
福田「えーっと、そうですね。ありがちかもしれないんですけど、ラストのシーンは会話のない中でのやり取りというか、セリフがないからこそ、伝わるものが、あのシーンにはあったと思いますね。勝人と春海ってどこかちょっと距離があって、個人個人でいるのだけど、しっかり繋(つな)がっているというあの微妙な空気がどんどん描かれて、あそこで最後に到達している。とても好きなシーンですね」
長瀬「奇遇だね(笑)」
福田「そうですか(笑) 」
長瀬「僕もそうですかね。現場的にも、話の内容的にもあの場所がぼくらの最後の場所なんです。現場に着いた時は凄(すご)く天気が悪くて、撮影できないんじゃないかなくらいだったんですけど、途中から天気にも恵まれて、なんか凄(すご)く、なんでかわからないんだけど、現場の雰囲気が結構、良かったんですよ。で、俺、結構、自分のことしか覚えてないんだけど、二人で歩いて海の見える場所にたどり着いて、最後、言葉もなくて、二人で座って、テキーラの瓶を浜にぶっ刺して・・・。やっとたどり着いた気持ちと開放された気分で、自分はこれから死に向かっていく、これまでは耐えられなかったけど、ようやく立ち向かおうという決心を決めて、目に一瞬、力が入る。まぁ、映像では出てないですけど、僕の気持ちの中ではそうだったんです。そして春海に倒れ掛かっていく時に視界からどんどん海が消えていくんですけど、その時に凄く寂(さび)しかったんですよね。もう二度とこの景色が見えないんだなって思いながら。徐々に目を閉じていった時の感じは・・・色んなことを考えてましたね。その時にまぁ、最後のうしろ姿で、曲が流れているんだけど、2分くらいかな?」
福田「5分くらいでしたね」
長瀬「ずーっとね、同じポーズでいなきゃいけなくて、もしかして、今、ぱっと後ろ向いたらスタッフ誰もいなくなっていたら、どうしよう。そのぐらいみんなが息を止めている感じの一体感、その感じが凄く良かったな。現場の雰囲気素晴らしいなと思って。たまに足がびくっとなりながらも(笑)。動いちゃいけない、動いちゃいけないと思いながらも」
福田「私に長瀬さんが寄りかかって見えると思うんですけど、体重をかけて見えつつも、凄く気を使って下さっていて。大丈夫ですって言ってたんですけど、なるべく体重をかけないようにしている感じがその間中伝わってきて、申し訳ないなぁって(笑)」
長瀬「今この砂浜に二人しかいないんじゃないかってくらい、本当にスタッフがシーンとしていたんですよ。みんなでそのシーンを描いて、みんなで伝えようとしている人達の心というのは素晴らしいなと思いましたね。すごくいい現場だったし、いいシーンが出来ました。もちろん、それまでのシーンの積み重ねがあったから、あのシーンが良くなった結果でもあるんですけど。そういう意味でも僕もラストシーンが印象に残っています。」

インタビュアー「自分たちが彼らのような状況に追い込まれたら、これだけはしておきたいというようなものはありますか」
長瀬「余命宣告されたら・・・何もできないと思うし、何も考えられないと思うんですよね。結局、理解できないまま、きっと余命を宣告されたことも忘れて、でもふとした時にそれを考えちゃったりして、本当なのかな?みたいな。貯金を全部使うとか、一緒にいたい誰かといるとかかなって、今は思うけど、実際は分からないです」
福田「私も長瀬さんと同じような話になってしまうんですけど、何かしたいと考えるのは凄い難しいと思います。最近も考えたんですけど、明日がまた来るってことが不思議なことに思えるんです。寝る前に目覚ましをかけるじゃないですか。でもそれって不思議なことですよね。いつも明日が来るからそれを想定して目覚ましをかける。でもまだ眠ってもいないのに、明日が来ることを考えて目覚ましをかけるなんて、凄く不思議なことじゃないですか!?なんかまとまりのない話ですいません(笑)。本当に実感わかないと思います」
長瀬「未知の世界だもんね」


『ヘブンズ・ドア』
監督 マイケル・アリアス 
脚本 大森美香 
出演 長瀬智也 福田麻由子 長塚圭史 大倉孝二 
   和田聰宏 黄川田将也 田中泯 三浦友和ほか
配給 アスミック・エース 
 28歳のフリーター勝人(長瀬智也)はやる気のない態度から勤めていた工場を解雇される。その後、在職中に受けた健康診断の結果から余命わずかと宣告され呆然とする勝人は、病院で入院中の春海(福田麻由子)と出会う。14歳の彼女もまた、あと少ししか生きられない。更に幼いころから病院暮らしをしてきた彼女は、海を見たことすらない。そこで二人は病院を抜け出すことを決行。手始めに入り口に停めてあった高級車を盗む。が、その車にはとてつもない、しかも訳ありの大金が積まれていた。



長瀬智也(ながせ・ともや)
1978年神奈川県生まれ。
1993年『ツインズ教師』でドラマ初出演。
1994年TOKIOのメンバーとしてCDデビュー。
『白線流し』(1996年・CX)、
『池袋ウエストゲートパーク』(2000年・TBS)、
『タイガー & ドラゴン』(2005年・TBS)
など数々の人気ドラマで主演を務める。
映画は2005年『真夜中の弥次さん喜多さん』に主演。
2007年『ストレンヂア 無皇刃譚』では声優を担当した。


福田麻由子(ふくだ・まゆこ)
1994年東京都生まれ。
1998年に女優デビュー。
『女王の教室』(2005年、日本テレビ)、
『白夜行』(2006年、TBS)、
『演歌の女王』(2007年、日本テレビ)、
など数多くのドラマに出演。
今年公開の映画では
『L change the World』、
『犬と私の10の約束』に出演。
2009年も本作のほか、
紀里谷和明監督の時代劇『GOEMON』の公開が決まっている。


【引用ここまで↑↑↑】
posted by mayuko at 13:07| 雑誌に出た福田さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする